カオスを音楽に変える:Newfangled Audio「Generate」レビュー

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シンセサイザーの世界には数えきれないほどの製品が存在するが、その中でも「Generate」は一線を画す存在だ。Eventideの子会社であるNewfangled Audioが開発したこのポリシンセは、「カオス理論」を音作りの核心に据えた、非常にユニークな発想から生まれた楽器である。


Newfangled Audio「Generate」
目次

Generateとは?

Generateは、8種類のカオティック・オシレーターを搭載したポリシンセプラグインだ。「カオス」と聞くと無秩序なノイズを想像するかもしれないが、カオス理論が扱うのはそういったものではない。表面上はランダムに見えながらも、その中に隠れたパターンや自己相似性、フィードバックループが存在する複雑な系??それがカオスの本質だ。Generateはこの性質を巧みに利用し、単純なサイン波から完全なカオスへとなめらかに変化する、生きているような音を生み出す。


8種類のカオティック・オシレーター

Generateの心臓部となるのは、以下の8種類のカオス発生器だ。

  • Double Pendulum(二重振り子)
  • Vortex(渦)
  • Pulsar(パルサー)
  • Discharge(放電)
  • Turbine(タービン)
  • Helix(螺旋)
  • Crescent(三日月)
  • Magma(マグマ)

それぞれが物理現象や自然現象にインスパイアされており、単純なオシレーターとはまったく異なる倍音構造と動きを持っている。サイン波からカオスへの連続的なモーフィングが可能で、その「あいだ」の領域には無限の音色が眠っている。ディストーション、ハーモニクス、グランジ、スタティックノイズ??どれも予測可能なかたちでも、予測不能なかたちでも引き出せる。


Buchlaにインスパイアされたシグナルパス

Generateのシグナルパスは、

モジュラーシンセの伝説的存在であるBuchla(ブックラ)のコンセプトを随所に取り入れている。

Buchla

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ウェーブフォルダー(Wavefolder)には5種類が用意されている。Buchla 259 Complex Waveform Generatorをモデルにしたものをはじめ、フラクタル系、アニメーションされた独自方程式、そして独自のSaturateアルゴリズムによるものが揃う。オシレーターの出力をウェーブフォルダーに通すことで、倍音が豊かに付加される。

続くローパスゲート(Low Pass Gate)はBuchla 292にインスパイアされたもの。通常のフィルターとは異なり、音量と音色を同時にコントロールする独特の挙動が、Generateのサウンドに有機的な質感をもたらしている。POLESとRESONANCEのコントロールも備わっており、繊細なニュアンスの調整も可能だ。


革新的なモジュレーションシステム

Generateのモジュレーションシステムは、このプラグインのもうひとつの大きな特徴だ。

利用可能なモジュレーションソースは次のとおり。

  • 2基のルーピングエンベロープ
  • 2基のLFO
  • サンプル&ホールド/ランダム
  • 8ステップのシーケンサー(ランダマイズ機能とパルスウィズス出力付き)
  • MIDI / MPEソース

驚くのはそのルーティングの自由度だ。ほぼすべてのパラメーターをモジュレーション先として設定できる革新的なモジュレーションUIにより、1つの画面上から最大1440通りのルーティングが可能。さらに、各モジュレーションソースは複数の出力を同時に持ち、ソース同士が互いをモジュレートできるため、まるでモジュラーシンセのパッチングのような複雑な信号の絡み合いが生まれる。

MPE(MIDI Polyphonic Expression)対応も見逃せない。PushやRoliなどのエクスプレッシブなコントローラーを使えば、各音符ごとに独立したピッチベンド、プレッシャー、スライドを活用した、息をのむような表現力が手に入る。


エフェクトセクションとアニメーション

シンセエンジンの後段には、EQ、コーラス、ディレイ、リバーブ、リミッターが備わっており、これらもモジュレーション対象として扱える(最大13のエフェクトパラメーターをモジュレート可能)。

また、Double Pendulum、ウェーブフォルダー、ローパスゲートにはリアルタイムアニメーションが付いており、モジュールが入力や変調にどう反応しているかを視覚的に確認できる。これは単なる装飾ではなく、音作りの理解を深める実用的な機能でもある。

インターフェースはリサイズ可能で、カラースキームも変更可能。自分好みの見た目にカスタマイズできる点も好感が持てる。


900以上のプリセット、著名アーティストも参加

Generateには900以上のプリセットが付属しており、世界的に活躍するアーティスト・サウンドデザイナーが制作に参加している。

  • Chris Tabron(Beyoncé、The Strokesのプロデューサー)
  • Count(Radiohead、Tycho、DJ Shadowのエンジニア)
  • Chris Carter(Throbbing Gristle)
  • Matt Lange(deadmau5、BTとの仕事で知られる)

映画・テレビのコンポーザーや実験音楽のレジェンドも名を連ねており、プリセットの幅は非常に広い。複雑なパッドから、揺らめくキーボードサウンド、シーケンスされたベース、制御不能なリード、そして「これは何だ?」と思わせるテクスチャーまで、ありとあらゆる音色が揃っている。


どんな音楽に向いているか?

Generateは万能ではないが、特定のジャンルにおいては他の追随を許さない存在感を放つ。

  • アンビエント・ドローン:カオティックなオシレーターが生み出す、静かに変化し続けるテクスチャーは格別
  • エクスペリメンタル・エレクトロニカ:予測不能な動きが創造性を刺激する
  • シネマティック・サウンドデザイン:映画音楽やゲームサウンドに使える独特の空気感
  • モジュラーライクなサウンド:物理的なモジュラーシステムに近い有機的な揺らぎ

逆に、クリーンなポップスやトラディショナルなEDMには、やや個性が強すぎるかもしれない。ただし、それもプリセットや設定次第で十分に対応可能だ。


価格・動作環境

現在Plugin Boutiqueにて通常価格$99、セール価格$49(2026年3月16日まで50%オフ)で販売中。無料トライアルも用意されているので、まず試してみることをおすすめする。

動作環境

  • Mac:macOS 10.9以降(64bit)、Apple Silicon(M1)対応、AAX / AU / VST2 / VST3
  • Windows:Windows 8以降(64bit)、AAX / VST2 / VST3
  • 認証にはiLokアカウント(無料)が必要。iLokドングルは不要。

まとめ

Newfangled Audio Generateは、「カオス」という一見扱いにくい概念を、音楽的に意味のある形で実装することに成功した稀有なシンセサイザーだ。物理と数学から生まれたオシレーター、Buchlaへのオマージュ、革新的なモジュレーションシステム??これらが組み合わさることで、他のどのシンセとも違う「生きている」サウンドが生まれる。

ユーザーレビューの平均評価は4.8/5.0(336件)というのも、このプラグインの完成度の高さを物語っている。

カオスを恐れず、音の未知の領域を探求したい人に、ぜひ手に取ってほしい一本だ。


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この記事を書いた人

スマホ大好き人間です。

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