本好きの下剋上の声優
キャラクター | 声優 |
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マイン | 井口裕香 |
フェルディナンド(神官長) | 速水奨 |
トゥーリ | 中島愛 |
エーファ | 折笠富美子 |
ギュンター | 小山剛志 |
ルッツ | 田村睦心 |
ベンノ | 子安武人 |
オットー | 日野聡 |
マルク | 前野智昭 |
フリーダ | 内田彩 |
「本好きの下剋上1巻」の評判(Amazon)
文章に勢いがあり、第一部の頃は割と楽しく読んでいました。
新たな人生で精神的に成長し、いずれは国中に図書館を作って司書になるのかな?という期待を抱いていたのですが……(以下シリーズ結末までの感想、ややネタバレ)そのまま既刊本の続きをweb版で読みましたが、特に貴族編になってからは、もの作りより主人公がいかに賞賛されるかばかりに重点が移ってしまったように感じます。
主人公は地位が上がっても相変わらず自分の欲求優先で、勝手な行動をしては周りを巻き込んでいます。
領地に利益をもたらす時も、自分の利益はしっかり確保する狡猾さは忘れません。
そのせいか、最初は商人思考かとも思いましたが、次第に得にならない人への無神経と見下しが鼻につき、いつまでも謙虚さの無い自己中な性格のままであることに不快感を覚えるようになりました。
しかも自分が思うように行動しない人や迷惑をかけた人達には、たとえ味方サイドであっても『生涯を棒に振る』か『主人公に逆らえない契約』という二度と取り返しのつかない末路を平然と与えます。
敵相手であれば溜飲を下げるポイントにもなると思うのですが、対象が『悪』でも『敵』でもないことが多い為、散々他人に迷惑をかけている自分のことを棚にあげた傲慢さにしか見えなくなります。
明確に『敵』として書かれているキャラが空気で終わってしまうというのも一つの要因かもしれません。
主人公が精神的に成長しないまま周囲を愚かにすることで優秀さをアピールする展開や、現代文化を自作扱いする点にも強いもやもや感がありましたが、それでもここまで読んだのだから…と脳内でフォローし続けていました。
しかし終盤は結局魔力無双、主人公(とお相手の男性)は自分本位すぎて独裁者にしか見えず、こんな展開になるなら第一部でやめておいたのに、と後悔しました。
主人公に自己投影できる人は楽しいかもしれませんが、私には無理でした。
文体は読みやすく、ストーリーも独創的で楽しめる。特に異世界といってもそれほど目立った違いは無く、むしろ中世ヨーロッパの庶民の生活を下敷きに描写しているので現実感がある。ただ、登場人物に共通して強い違和感がある。主人公は異世界に転生した司書に就職が決まっていた女子大生で、無類の読書好き。今時、読書好きで司書になれるほど、図書館の求人があるわけではないので意欲と能力という点では余程のことだろう。それが、あっけなく本につぶされて死亡してしまい、気が付くと異世界で高熱に浮かされる5歳の幼女になっていた。
何とか回復してからは、あれやこれやの大騒ぎを起こすが、事情を理解すると制約の中で生活改善を図り始める。そして本が商品として存在しないことを知り絶望から行動を起こす。文字を憶え、紙づくりからチャレンジし粘土板から木簡、竹簡と周りを巻き込み、はたまた傍弱無人につぶされながらも徐々に前に進む。ただ、何か、違和感がある。何かと言えば、周りが主人公の奇行に優しすぎるのだ。もちろん、5歳の幼女で体力が無く、しょっちゅう寝込むし、本当ならもっと幼くて亡くなっていてもおかしくない、周りがやさしいのはそのためと言える。とは言っても、シャンプーを作ったり、文字の読み書きを短期間でマスターしたり、帳簿を付けたりできるようになる、それも5歳児がとなると優秀を通り越して異様に感じないだろうか。それに、何より主人公自身が気にも留めていないが、もともとの体の主のはずの5歳児の意識はどこへ行ったのだろう。大体、分かっているがそれならそのことに主人公が何の感傷もないのは理解しがたい。
その辺の雰囲気を察してか、巻末の番外編で周囲の目で主人公の評判が語られる。その中でこの作品の違和感への説明がなされる。それで大体のことは補完される。だが、それでも主人公自身の語る言葉はただひたすら本への欲求に集約されて他のことは綺麗に飛んでしまっている。
面白いが、気味が悪い主人公の物語は、もう相当な続編が出ているので評判が良いのだということは間違いないが、どうもここから次を手に取ろうという気にはならなかった。
読めば読むほど、面白さが増していく作品です。
気が付くと目が離せなくなっていきますね。また、主人公が極度な本好きですので、本が好きな方は共感できる部分も多いかもしれません。
主人公であるマインが体力が無い、体質が虚弱、でも知識だけはあることで、マインが自分で色々やりたいのに何もできないという苦痛を読者にまで伝染してしまう可能性があり、読者が途中で読むことを投げ出す可能性があることが否定できないところがあります。
また、この巻は家族を完全に家族として認めることができていない期間の話の為、マインの家族に対する考え方や言動が目に付く場面も多くあります。
ただ、マインが家族を大切な存在と認識できて、協力者ができて色々な物を作り出すところまで話が進むと時間を忘れてしまうほど面白くなっていき、最新刊まで手を出さずにはいられなくなります。
どうしても投げ出してしまってこの巻を読むことができない人はマンガ版から入るのもいいかもしれません。マンガ版はとても読みやすく構成されてる上に原作愛が溢れていて、私の中では小説「兵士の娘?」とマンガ版の「1巻と2巻」ではマンガ版のほうが評価は上です